木佐木ただまさ
木佐木ただまさ木佐木ただまさ

一般質問に立ちました!

今回は、3つの柱を立てて質問しました。一つ目は、安心して住み続けることのできるかながわを目指してと題して、地元鶴見でも大きな課題になっている「買い物弱者・買い物難民」の問題や商店・商店街、小規模企業の振興についてと、高齢化が進む公営住宅の中で、学生の入居を進めて地域活性化と学生への経済的支援を両立する取り組みについて質問をしました。

2つ目は、労働者の働く権利を守る取り組みについてと題して、県内で起きている悪質な不当労働行為の実例を紹介しながら県として傍観するのではなく働きかけをする県の取り組みなどを求めました。

3つ目に、核兵器禁止条約の批准にむけてと題して、「ヒバクシャ国際署名」にサインをした黒岩知事に国の姿勢を改めるよう働きかけることを求めました。

前向きな答弁もありましたが、労働者の働く権利を守りぬくことへの県知事の認識の低さに唖然としてしまいました。評価できるところは応援し、改めるべきところはちゃんと指摘するという議員の当たり前の仕事ではありますが、これからもしっかり取り組んでいきたいと思います。質問と答弁のPDFはこちら。本会議場で示したスライドはこちら

2017年第3回定例会(2017年9月19日)

安心して住み続けることのできる神奈川を目指して

買い物弱者支援について

木佐木:日本共産党の木佐木忠晶です。共産党神奈川県議団の一員として質問いたします。

まず安心して住み続けることのできる神奈川を目指して、買い物弱者支援について質問いたします。

昨今、地域をめぐる問題として、高齢者を中心に日々の買い物に困難を抱える方々の存在がクローズアップされてきています。この問題は、「買物弱者」「買物難民」といった商店へのアクセスが困難な状況からの視点と、そのことから発生する食料品へのアクセスが限定的になることで、低栄養状況に陥ってしまう「フードデザート(食の砂漠)」といった視点からの問題が認識をされています。これまで買い物弱者への支援の必要性は、公共交通機関へのアクセスが良くない山間部・過疎地域などについて考えられてきました。

 しかし、私の地元の横浜市鶴見区でもバス路線から少し外れ、周りにはコンビニが一軒あるだけという地域や、丘の上に作られた団地でバスは丘のふもとまでしか来ておらず、車や電動自転車がなければ買い物に行くために勾配のきつい坂を上り下りするほかないといった声が寄せられており、都市部においても重要な課題となっています。

 経済産業省は、買物弱者とは「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている60歳以上の人」として、全国に700万人の買い物弱者がいると推計し、解消に向けた取り組みが始められています。

 農林水産省では、自宅の500m圏内に生鮮食料品販売店舗がなく、自動車を持たない65歳以上の人と定義し2025年までに598万人に増加すると推計をしています。

 経済産業省の報告によると、フードデザート問題を命名したといわれるイギリスでは、貧困や格差社会とも関連付けた研究がなされています。フードデザートによって、ビタミンや食物繊維、ミネラルなどの栄養を摂取する機会が不足すると、心臓病、脳卒中、糖尿病、がんなど健康被害が生じる可能性が高まり、高齢者においては低栄養が原因で転倒や骨折、身体障害のリスクが高まるとしています。そして、低栄養な食事を摂り続けたことによって死亡するイギリス人の数は年間7万人に上り、国民保健から栄養不足が原因の病気に対して支払われる金額は年間約20億ポンド(3700億円)に達すると言及している研究もあるとのことです。

 国によって、また各省庁によって問題の把握の起点や切り口・対象の捉え方が様々あり、自治体においてどこの部局で所管する課題なのかがわかりにくくなっている現状にあると思います。

しかし、こうした買い物が困難になることで生じる問題や課題は、知事が大々的に掲げる「健康寿命の延伸」「未病の改善」「人生100歳時代」の取り組みを進めていく上で不可避の問題であると考えます。

 これらの課題に対して、全国の自治体の取り組みとしては、大きく分けて3つに分けられるかと思います。1つに買物弱者をお店まで運ぶ2つにお店を買い物弱者の住まいの近くまで呼ぶ、3つに商店空白地域をなくしていくといった対応です。

 しかし、総務省によれば移動販売や宅配事業の7割が実質的な赤字となっているという調査報告が発表されており、民間事業者やNPOの方々に対して、金銭的な援助や人的援助なし事業継続していくことは困難な状況が示されています。

 茨城県牛久市では、行政と事業者と地域住民等から構成される、移動販売車事業の推進協議会を持っています。この取り組みの特徴は、行政と事業者・地域住民が密接に連携をとることと併せて、研究者も連携することで「具体的にだれが、どこで、どのように困っているのか」を解明しようとするところにあります。牛久市は2014年に高齢者の食生活と買物環境に関する大規模なアンケートを行い、低栄養に陥るリスクの高い高齢者が市内にどのように分布しているのかをつかみ、今後の事業展開を考える重要な手掛かりを得ています。

 県内でも横須賀市では「横須賀白書2015」のなかで「自宅から食料品店までの距離が500m以上の地域の把握およびその地域の人口の推計を試みるために買い物マップを作製」したり、「交通機関の乗降場所までの距離が500m以上となる地域の把握およびその地域の人口の推計を試みるための移動交通マップを作製する」などの調査を行っています。こうした調査と推計を行ったことで、近くに商店も交通機関もない市民が、約2万人も存在することが浮かび上がりました。こうした姿勢があって初めて買い物弱者が抽象的な課題ではなく、具体的な目の前の課題であると認識できるのではないでしょうか。横須賀市の「今後の展開」という項目でも、このような実態を受けて、さらなる調査の必要性が挙げられています。

 神奈川県においては、買物弱者支援の事例集の作成や買い物支援のボランティアの方に対する研修会などを行っているとのことですが、これでは課題解決のための踏み込んだ取り組みが行われているとは言えません。

県内の様々な地域で顕在化している買い物弱者の支援であるからこそ、地域が取り組めるような丁寧な援助と併せ、広域的専門的な調査研究を市町村と連携して行うことが県に求められている役割ではないでしょうか。

そこで知事に伺います。神奈川県として、買い物弱者への支援の必要性をどのように認識し、現状をどう把握しているのか、また、買い物弱者問題を解消するために県として、どのように取り組んでいくのか知事の考えを伺います。

 

黒岩知事:木佐木のご質問に順次お答えします。

 安心して住み続けることのできる神奈川を目指してについて何点かお尋ねがありました。

 まず、買い物弱者支援についてです。

 いわゆる買い物弱者の方々が直面されている状況や、その要因は様々ですが、例えば、商店街の衰退や交通網の弱体化など、個人の力では対応しきれない課題については、行政による支援が必要と考えています。

 一方、買い物弱者については、国においても、統一的な基準がなく、支援の対象も確立していないため、有効な対策を講じていくためには、買い物弱者に関する実態をしっかりと調査することが必要です。

 そこで、今後、市町村や関係機関と連携して実態調査を行い、それによって得られたデータをもとに、広域的な観点から、県としての対応を検討するとともに、市町村の取り組みについても支援していきたいと考えています。

 

地域社会の守り手である商店街の振興にむけて

木佐木:次に地域経済の振興について

まず、地域社会の守り手である商店街の振興に向けて質問します。

 買い物弱者の問題を拡大させてきた要因の一つに、これまで身近な地域商店街で事が足りていたが、大型店や郊外店の進出をきっかけに、個人商店や商店街が疲弊し身近な買い物場所が姿を消してきた。こうしたことが指摘されています。

 地域商店は、買い物弱者を支えるだけでなく、町内会や自治会、消防団そしてお祭りなど地域の治安や文化の継承の重要な担い手ともなっています。改めて、地域社会の結びつきが大切なものと認識されている今、地域の商店街や商店を維持していくことは行政の大きな仕事の一つと考えます。知事は先のわが会派の大山議員の質問に対し、小規模企業の存在意義について「地域経済の発展や県民生活の向上に大きく貢献し、地域社会の一員として、コミュニティの持続や賑わいの創出にも重要な役割を果たしており欠かせない大切な存在である」と答弁をされています。

 しかし、現実には県内の商店街の数は、2007年には1209か所でしたが、2016年には1019か所になっているとのことです。10年間で実に200か所近くが減っているという事態にあります。

 中小企業憲章制定の際、閣議決定では「国の総力を挙げて、中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考えていく。」と述べていますが、この視点が非常に重要だと考えます。

 神奈川県中小企業・小規模企業活性化推進条例に基づき、成長発展する企業だけではなく、なんとか経営の維持・継続を図ろうと懸命に努力する商店などの小規模企業にしっかり届く支援の具体化がまさに求められています。 

 そこで、産業労働局長に伺います。神奈川県中小企業・小規模企業活性化推進条例やかながわグランドデザインにも位置付けられる商店や商店街が持続的発展をしていくための県の具体的な取り組みが急務であると考えますが、産業労働局長の見解を伺います。

 

楯岡産業労働局長:地域社会の守り手である商店街の振興に向けて、お尋ねがありました。

 商店街は、地域のコミュニティの核として重要な役割を担っています。

 しかし、商店の数の減少に伴い、活気がない商店街が増えており、その役割を維持するためには、懸命に努力する商店街や商店を支援し、活性化を図ることが必要です。

 そこで県は、商店街が抱える様々な課題に迅速に対応し、まず職員が赴いて話を伺い、それぞれにあった事例等を紹介しながら相談に応じています。

 また、その後は具体のニーズに合わせて専門家を派遣するなど、継続的な支援も行っています。

 さらに、個々の商店に対しては、7月末現在、県全体で141名が登録している「小規模企業応援隊」が巡回訪問し、各種支援施策の活用を促すとともに、経営上の課題等に対しても、専門家による支援を行っています。

 こうした具体的取り組みを今後も継続し、併せて、より一層活用していただけるよう、周知に努めてまいります。

私からの答弁は、以上です。

 

小規模企業の魅力発掘に向けて

木佐木:次に小規模企業の魅力発掘に向けて伺います。

 県の行った「中小・小規模企業等課題把握事業報告書」によれば、小規模企業の課題のトップは「販路開拓・販売促進への対策」とされています。これは、担い手が少なく、店をあけることができない小規模企業者にとって新たな販路を切り開くことは容易ではないことの現れだと思います。

 商人の町大阪市では、企業OB約50人がマッチングナビゲーターとして、それぞれの経験を活かし企業を回り、当事者からは見えないその企業の魅力を見出し、毎月集まる会議の中でマッチングを行う「ビジネスチャンス倍増プロジェクト」という事業を行っているとのことです。2002年からの16年間で5300社の訪問、約1万3000回のマッチング、受注総額約145億円の実績が挙げられているとのことです。

 現在、神奈川県では、中小企業診断士を派遣しての経営へのアドバイスなどの事業をおこなっており、これまで支援を受けた事業者からは歓迎の声が寄せられているとのことです。しかし、もっぱら中小企業支援を担っている中小企業支援課には、8名の中小企業診断士の資格保有者がいるということですが、全県の約20万の中小・小規模企業の数からすれば、県の体制として、とても足りていると云える状況ではなく、もっと中小・小規模企業支援の取り組みを充実させるためにも、予算と体制を拡充していくことが求められます。

 そこで、小規模企業の魅力を発掘するためのきめ細かなサポートをするために、中小企業診断士やマッチングコーディネーターの活用と予算・体制の充実が必要と考えますが、知事の見解を伺います。

 

黒岩知事:次に、地域経済の振興についてお尋ねがありました。

小規模企業の魅力発掘についてです。

 まず、中小企業診断士やマッチングコーディネーターの活用についてです。

 本県の中小企業・小規模企業の支援は、県をはじめ、公益財団法人神奈川産業振興センター、商工会・商工会議所等の支援機関が連携して行っています。

 各支援機関では、中小企業診断士等の有資格者をはじめ、支援経験が豊富な経営指導員や、取り引きのマッチングをコーディネートする専門員等が、それぞれの専門性を活かして、小規模企業の支援に取り組んでいます。

 今後とも、こうした人材をフルに活用して、小規模企業のきめ細かなサポートを行っていきます。

 次に、予算・体制の充実についてです。

 県は、中小企業・小規模企業のニーズに応じた効果的・効率的な支援が必要との認識のもと、厳しい財政状況下でも、支援機関と丁寧に調整しながら、必要な予算を確保してきました。

 今後も、小規模企業支援の核となる商工会・商工会議所に対して、経営状況の分析や、事業計画の策定等に必要な国庫補助金の活用を促すなど、支援機関全体の予算の確保に努めていきます。

 合わせて、支援機関に対し、中小企業診断士資格の取得や、中小企業大学校等の研修受講などを引き続き働きかけ、支援体制の充実を図ってまいります。

 

 

県営住宅の学生居住について

木佐木:次に県営住宅の学生居住について伺います。

 これまで、私は本会議において若者を応援する施策の推進について大学生への県独自の給付制奨学金の創設を求めてきました。

 未来を担う若者の学びをしっかりと保障し、学びを社会に還元してもらうことは、社会が発展していく核となるものだと思います。

 この観点も踏まえ、今回は県営住宅の学生居住について質問します。

 親の収入が減る中で、一人暮らしの学生への仕送りも年々減少傾向にあります。また、学生の二人に一人が奨学金を借りている。そうした状況にある中で学生の学びを取り巻く状況は非常に厳しいものとなっています。その中でも、生活の基盤であり、毎月の支出の大きな部分を占める家賃は、学生にとって大きな負担となります。全国大学生活協同組合連合会の調査に寄れば大学生の収入は約12万円なのに対して、住居費は約5万2千円となっています。私自身の経験に照らしても、学生時代は大学近くの横浜市内の相場は6万円という状況でした。家賃は手取りの3割前後と言われることが多い中で、収入の半分近くが家賃にかかってしまうというのは非常に大きな負担と言えます。

 そうした中で、兵庫県の明舞(めいまい)団地において、単身の若年層は入居対象となっていない県営住宅に、学生の入居をすすめるという、とても興味深い取り組みが始められています。

 兵庫県は、明舞団地の「建築物の一斉老朽化」、「一斉高齢化と人口減少」を課題として2004年に再生計画を策定し、施設や県営住宅建て替えなどのハード事業と地域活性化や高齢者の生活維持のためのソフト事業を並行して進める中で、学生の入居を進め、団地や地域全体を活性化させようと検討されたとのことです。

 学生の居住応募には地域活動への参加などの条件が付されています。家賃は約1万円から25000円程度と通常の賃貸物件に居住する場合に比べて低廉になっています。また、この取り組みについて当該学生たちからアンケートを行ったところ、地域活動への参加については、地域活動や住民との触れ合いはおおむね肯定的に受け止められ、生活環境も、生活の場として一定の満足が得られているとのことです。

 自治会からは「自治会活動に活気が出てきた。学生の参加をきっかけに、これまで参加しなかった住民も自治会活動に参加している」という声や「誰からも文句は聞いておらず喜ぶ声が多い。会議にパソコンを持ち込み記録するなど若い学生だからできることも多い」という声が出されています。

 そこで知事に伺います。学生の学びを支える根幹といえる住宅への援助とともに、地域社会の活性化にもつながっている、こうした取り組みについて、多くの空き住戸を擁している神奈川県についても積極的に取り組むべきと考えますが知事の見解をうかがいます。

 

黒岩知事:県営住宅は、住宅に困窮している低額所得者に低廉な家賃で住宅を提供するものですが、夫婦又は親子など、世帯での入居を原則としており、単身者については、高齢者や障害者などに限定しています。

 そうした中、兵庫県の明舞団地において、本来、県営住宅への入居が認められていない単身の学生を、特例的に県営住宅に入居できるようにした取組が実施されています。

 具体的には、入居者の高齢化によって、コミュニティの活性化が課題となっている団地において、自治会活動への参加を条件に、学生の入居を認めているものです。

 また、大学や学生にとっても、地域貢献ができる場や、実践的な社会貢献ができる機会を求めていたことから、県営住宅と大学との双方のニーズが合致し、実現した取組であると承知しています。

 本県においても、同様の課題を抱えていることから、参考になる取り組みであると考えています。

 しかしながら、大学の希望するエリアに空き住戸があるのか、学生に貢献できる機会があるのか、自治会が希望しているのかなど、それぞれのニーズが合致する団地でないと実施できないという課題があります。

 今後、平成30年度に予定している「ストック総合活用計画」の改定に向けて、コミュニティの活性化を図る様々な方策を検討する中で、研究を進めてまいります。

 

 

【再質問】

買い物難民、買い物弱者支援について

 今、知事並びに産業労働局長に答弁いただきました。それでは1点再質問をさせていただきたいと思います。買い物難民、買い物弱者支援について伺います。

 農林水産省農林水産政策研究所の『食料品アクセス問題の現状と対応方向』という報告では、問題解決にはコミュニティの活性化、高齢者だけでなく子育て世代や障害者、そして様々な対象者、そうしたものをしっかり認識する必要があると、長期的視点にたったまちづくりの必要性などが指摘をされています。

 こうした指摘を受け止めて研究する。こうしたことが農林水産省の研究書の中でも共有されているということです。これらの具体的な取り組みを進めるためには、全庁横断的に取り組む必要がると考えています。子どもの貧困の問題では、「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」を策定した上で、実現に向けた体制を神奈川県は構築をしました。買い物弱者支援についてもこうした多岐にわたる課題があることから、全庁横断的な体制を構築して取り組むべきと考えます。知事の見解をうかがいます。

 

黒岩知事:確かに、買い物弱者という問題は、一つの問題をなんとかすれば対応できるという問題ではなくて、幅広い分野に渡っているということであります。そのために、実態調査をまずしっかりとしていくということは必要であります。

 その上で、市町村や関係機関と連携して実態調査を行い、それによって得られたデータをもとに、広域的な観点から県としての対応を検討するとともに、市町村の取組みを支援していきたいという中でありまして、県庁としても、全庁横断的に取り組んでいきたいと考えております。

 

【要望】

木佐木:全庁横断的な取り組みを展望するということでした。是非その方向で進めていただきたいと思います。

 それでは一つ目の柱の要望を申し述べさせていただきたいと思います。

 まず、買物弱者支援の取り組みについてですが、島根県雲南市の取り組みが非常に興味深いものだなと私自身思っています。雲南市の波多地区では370人ほどの地域で800品目もの食料品、衣料品を扱うマーケットを住民が運営し、経営は黒字を保っているということだそうです。地域住民組織へのしっかりとした場所・人・お金の援助を行政が行い、地域が全体でこの問題と向き合ったことが、マーケットの運営を軌道に乗せる大きな要因だったというふうに思います。

 このように、地域の条件に応じて様々な取り組みが考えられ、実際に行われているということですので、ぜひ神奈川県としても国の取り組みを待つのではなく、県民の実態をしっかりとつかむための調査研究を行った上で、課題に応じた積極的な対応を全庁一丸となって早急に講じていただくことを要望したいと思います。

 

 次に、商店・商店街の振興のことについて要望させていただきます。ちょうど今月、私の地元の鶴見区の生麦駅周辺の3つの商店街は共同で「まちゼミ」という取り組みを行っています。

 この「まちゼミ」とは商店街の各店舗が自らの得意を活かして、お客に対して無料の少人数の講座を開いて、お店や店主のファンを作っていこうという取り組みだそうです。例えば、「仏具店が、宗派に沿った仏事の話をして、お仏壇の飾り方などを教える講座」や「文房具店が初心者のための万年筆講座と題して、万年筆を組み立てたり手入れの仕方を教える」といったもの、「ブティックがトレンディドラマに学ぶおしゃれなストールの巻き方」こうした企画がなされてきたそうです。この「まちゼミ」はこれまで全国305の地域で取り組まれており、95%の地域で好評だったことから次年度も開催されているそうです。地域の商店や商店街は、地域住民のために、そして地域とともにと、懸命に営業を続けています。この努力や思いに応える県の施策をしっかりと進めていただきたいと思います。

 

 次に、小規模企業魅力発掘についてです。

これまで、インベスト神奈川やセレクト神奈川など企業誘致のために県は多くの予算を割いてきました。「21世紀の資本」の著者であるトマ・ピケティはトリクルダウンの理論に対しは、「過去を見回してもそうならなかったし、未来でもうまくいく保証はない」と語っています。今こそ、大企業支援に偏重するのではなく、全国でも県内でも多くの割合を占め、足元で、景気・雇用・地域社会を支えている中小・小規模企業への予算を抜本的に増やして支援を強化していくことを要望いたします。

 

 最後に学生居住について、学生の公営住宅居住による地域活性化の取り組みというのは、兵庫県の明舞団地だけではなく、神戸市や京都市、そして県営住宅では滋賀県も始めているとのことです。滋賀県では、学生が草刈りなどの自治会の清掃活動に参加しており、2DKに2人が居住して家賃は月2万1千円、3DKには3人が居住し月2万4千円で貸し出しているとのことです。学生の経済的負担を大幅に軽減し、団地における地域社会の活性の一助となる県営住宅空き住戸の活用を、ぜひ前向きに進めていただきたいというふうに思います。

 

労働者の働く権利を守る取り組みについて

木佐木: 労働者の働く権利を守る取り組みについて質問いたします。

 現在、ブラック企業という言葉は、法令違反やモラルにかける企業を指すようになって久しい状況にあります。神奈川県でも「若者使い捨て撲滅月間」など労働者が働き続けることのできる環境を作るための施策を展開しているところです。

 県には、労使間の紛争を解決するために労働委員会があり、労働者の大切な権利を守るための労働組合に加わっていることを理由に、不当な取り扱いを行ういわゆる不当労働行為などの認定や、紛争解決のための話し合いのあっせんなど準司法的な業務を行っています。

 神奈川県労働委員会には、近年常時50件前後の紛争が継続しているとのことです。こうした、労使間の紛争の迅速な解決に尽力し、適正な労働環境の維持と労働者の権利を擁護することは行政の責任でもあります。

 私が相談を受けた事案では、使用者である社会福祉法人ハートフル記念会が組合員である職員に対して役職を解任し減給処分を下したり、一方的に不当な配置転換を行なったり、こうした対応の是正を求める団体交渉に誠実に応じず、組合員への差別的取り扱いや、憲法に保障された組合活動に介入したことについて不当労働行為の救済申立てが行われました。

 そして、神奈川県労働委員会は一連の法人の行為を不当労働行為であると認定をしました。その後、中央労働委員会、そして地裁、高裁、最高裁の判断を経て法人の行為が不当労働行為であったということが確定し、減給処分、配置転換等の処分をなかったものとする救済命令がだされました。それにもかかわらず、その救済命令の内容が履行されず今に至っていると聞いています。さらに客観的根拠なしに新たな理由を持ち出し、不当労働行為を継続させており、今年の8月4日に県労働委員会が勧告を発しましたが、職員の権利を侵害している状況が続いているとのことです。労働者が、生きる糧となる仕事を奪われるという事態であり、県としてこうした状況を放置していいのでしょうか。県の普及啓発はこうした使用者にこそ真っ先に行うべきではないでしょうか。

 そこで知事に伺います。県内において、労働委員会での結論や司法の終局判決に従わない使用者に対して、県としても履行するように働きかけるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

 また、県として労働関係法令の順守を求める立場から、法令違反等を行う企業の改善を促すために、県からの補助金や交付金が支出されている場合には保留や停止、また指導監督権限を持つ組織と連携をして当たるなど実効性のある特別の手立てが求められると思いますが併せて知事の見解を伺います。以上です。

 

黒岩知事:労働者の働く権利を守る取り組みについて、お尋ねがありました。まず労働委員会の救済命令等に従わない使用者に対する、県の働き掛けについてです。

 労働委員会は労働組合法により設置されている、独立した行政委員会で救済命令の履行を含む労働委員会の事務は知事の指揮監督権限が及ばない仕組みとなっています。

 また、救済命令等の履行についても、法に基づいた権限により、労働委員会が確認し履行しないものについては、裁判所等に通知をすることにより、過料や罰金が科せられる制度になっています。こうしたことから、県は労働委員会が発出した個別の救済命令の履行を指導する立場にはありません。

 次に、労働関係法令違反を行う企業への県の対応についてです。

 指導監督権限を持つ組織との連携については、神奈川労働局と定期的に連絡会を開催しており、この9月からは県に寄せられる労働相談のうち、違法な時間外労働が認められる企業の情報を、神奈川労働局に提供することとし、連携を強化したところです。

 法令違反を行う企業に対する補助金等について、交付目的に直接関連しない法令に違反があった場合は、交付目的が損なわれているとはいえないことから、原則として補助金等を保留停止することは、困難であると考えています。答弁は以上です。

【再質問】

木佐木:今、知事答弁ありましたけれども、労働局との連携、こうしたもの以外には特段、県として労働関係法令についてその遵守を進めるような取り組みを行うつもりはないというような趣旨だったかと思います。

 県として労働関係法令違反の使用者に対して働きかけも、特別な手立ても取るつもりはないという、非常に冷たい答弁だった。

 働き方改革を進めるという立場に立つのであれば、法令違反を何とも思わない使用者に対して、厳しく当たる必要があると考えます。県として、そのできる範囲でどんどんやっていくというのが、本来県の取るべき態度だというふうに思っています。

 例えば、横浜市は2017年4月1日付「横浜市指名停止等措置要綱運用基準」の中で、不当労働行為の項目を設けています。行政として、様々な取りうる手段を用いて、労働関係法令に違反する使用者に対してプレッシャーをかけていく、遵守を求めていく、こうしたことが必要ではないかと思います。県としてもこの横浜市の同じような、同様のルールを設けるなど、労働関係法令を遵守するように使用者に対して厳正な対応をとるべきと考えますが、知事の見解を改めて伺います。

 

黒岩知事:それではお答えいたします。労働関係を含め法令の実効性を確保するために、法令違反に対しては、国会の審議等を経て必要な罰則規定が全国統一的に設けられています。県としては違法な長時間労働が認められる企業の情報を提供するなど、引き続き指導監督権限を有する神奈川労働局と連携を図ってまいります。答弁は以上です。

 

【要望】

木佐木:労働局と連携していくということは非常に大事なことだとは思いますけれども、県独自として、県と様々な取引関係や許可指導の権限、そしてまた県は何よりも県民に対して労働法、この精神を普及啓発する立場にある、その事業を展開しているところです。

 まさに、労働法令違反する、そしてそれを放置する、継続させる使用者に対して、様々な権限に基づくものも、基づかないものもあると思いますけれども、しっかりと普及啓発していくことが大事であるし、またそのために働きかけていくことが必要だと思っております。

 それではこの、労働者の権利を守ることについて要望を申し上げたいと思います。

 医療や福祉、そして産業、公務など様々な県の施策を現に担っているのは現場で頑張る労働者です。労働者は長い年月をかけて団結をして、働き続けることのできるルールを一つずつ勝ち取ってきた。その権利を侵害する使用者に対して、県として県民の権利を守る立場から、そして県の施策をしっかりと実現していく立場からも厳正に対処すべきではないでしょうか。

 自らの役割を矮小化するような、無責任な知事の答弁はとても受け入れることができません。全庁に横串を刺して、労働関係法令を無視する使用者をなくすための制度やルール、また条例化なども視野に入れた対応を早急に行っていただくことを要望したいと思います。

 

核兵器禁止条約の批准に向けて

木佐木:それでは最後に、核兵器禁止条約の批准に向けて質問いたします。7月7日、国連会議において「核兵器禁止条約」が採択をされました。核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止を定めた画期的な内容となっています。核抑止論のもと展開されてきた核軍縮政策の結果、逆に核保有国が増えることとなっており、この路線の限界が露呈してきたのではないでしょうか。一部の国だけが核保有を認められるいびつなものではなく、すべての国が核兵器の保有を禁止される公平な政策がこれからの王道です。

 この条約の前文には「ヒバクシャにもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意する」という文言があるなど、まさに唯一の戦争被爆国である日本とヒバクシャの痛苦の経験に立脚をし、この地球上から永久に核兵器を廃絶するための決意が込められた条約です。

 そうであるにもかかわらず、日本政府はこの条約の採択に至るまでの過程で、何度も後ろ向きな姿勢をとり続け、自国民であるヒバクシャの気持ちを踏みにじってきました。そのような気持ちを今年の長崎の平和宣言は明確に示しています。日本政府に対し「核兵器のない世界を目指してリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言しているにも関わらず、核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の参加を国際社会は待っています。」と宣言し、政府の政策転換を強く求めています。このような中、広島・長崎両市長の呼びかけにより自治体の首長のヒバクシャ国際署名が広がる中、黒岩知事が率先して署名したことがヒバクシャの方々を大きく励ましたと神奈川でこの署名活動を進めていた方々から語られていました。

 そこで知事に伺います。国連会議において3分の2の賛成をうけて採択をされた「核兵器禁止条約」について日本政府の条約批准に向けて、神奈川非核兵器県宣言をした本県としても国に強力に働きかけるべきと考えますが知事の見解を伺います。以上です。

 

黒岩知事:核兵器禁止条約の批准に向けて、についてお尋ねがありました。核兵器を廃絶し、戦争のない平和な社会を築くことは、人類普遍の願いであり、その実現に向けて県でもこれまで様々な取り組みを行っています。昭和59年には神奈川非核兵器県宣言が県議会で議決されたことをはじめ、唯一の核被爆国である我が国の国民共通の悲願である核兵器の廃絶、恒久平和の実現に向けて地域からの取り組みを進めています。しかし現在なお、この地球上には大量の核兵器が存在します。

 9月3日には北朝鮮において昨年9月に続き核実験が強行されました。私は核兵器廃絶と平和を願う910万人の県民を代表し、厳重に抗議したところです。今年7月に採択された核兵器禁止条約については、核兵器国と非核兵器国を含むすべての国の行動が必要、というのが国の考え方と認識しています。

 県としては、国や世界の動きを注視して適切に対処するとともに、今後も県民の皆さんへの啓発などを中心に、引き続き核兵器の廃絶と軍縮に向けた地域からの取り組みを進めてまいります。答弁は以上です。

 

木佐木:今、知事答弁の中で人類普遍の願いであるということ、そしてこの核兵器禁止条約をめぐる状況などを注視して適切な対応を、ということでしたけれども、まさにこの非核兵器宣言を行った神奈川県が、日本政府に対してもそうですし、様々な今知事が行っているような県と各国との連携の中でもこういった精神を普及啓発していく、また呼び掛けていく、そうした取り組みが知事としても求められるんではないかと思います。

そこで再質問として、是非ですね、国の状況を注視して適切な対応をとる、というような国の動向待ちではなく、県独自にこの核兵器禁止条約の精神を世界に普及するような取り組み、また批准に向けた取り組みを行っていただきたいと思っていますが、それについて知事の見解を伺います。

 

黒岩知事:お答えします。核兵器のない世界を実現するという目的は、本県の神奈川非核兵器県宣言の趣旨に合致すると評価はしていますけれども、条約に核兵器国が参加しておらず、核兵器国と非核兵器国の双方に働きかける日本政府のアプローチとは異なると考えています。

 政府は核軍縮の実質的な進展のための賢人会議を、今年11月に広島で開催することを決め、この会合を通じて核兵器国と非核兵器国との対立などを乗り越え、核兵器のない世界に向けた提言が得られることを、期待をしています。県としてはこうした動きも注視しながら適切に対処するとともに、今後も核廃絶と軍縮に向けた地域における取り組みを進めていきたいと考えております。答弁は以上です。

 

木佐木:それでは、最後に要望を述べさせていただきたいと思います。

 地球上から核兵器をなくす、こうしたことは全ての人の願いだと思います。私自身も祖母が広島市で入市被曝をしましたので、被曝三世になります。そうした中でこの日本から、そして世界から核兵器をなくす、こうしたことはまさに自分自身の出自とも関係して、是非実現していきたい、そうした願いだと思っています。

 北朝鮮が核兵器開発やミサイル発射、強行したことは当然、許されるものではないというふうに思っております。しかし、今求められるのは軍事対軍事の緊張関係を高める路線ではなく、対話と外交の路線へと導いていくことが必要であり、国民、県民の平和と安全に責任を持つ行政の取るべき対応だと考えています。その際に一方だけが強力な武器を持つことを許され、他方が持つことを許されないのでは、話し合いのスタートを遅らせ、解決を遅らせるだけではないでしょうか。

 核兵器禁止条約が採択をされ、すべての国が足並みをそろえて、地球上から核廃絶を実現する大きなチャンスの時期です。この機を逃すことがないよう、日本が世界に向けて働きかけるためにも、批准は待ったなしだというふうに思っています。知事が日本政府に批准を働きかけ、日本が世界に向けてリーダーシップを発揮する。そのために知事の取り組みを強く要望して質問を終わります。ありがとうございました。