木佐木ただまさ
木佐木ただまさ木佐木ただまさ

予算委員会質問「高校生の教育を受ける機会を保障する取組の推進について」(3月15日)

DSC_3174 

第1回定例会予算委員会3日目、私学助成・給付制奨学金の拡充、高校の統廃合の問題など希望する進路への道を県として確保していくことを求めるために質問に立ちました。先の定例会でも一般質問で、高校生向けの給付制奨学金の拡充や大学生向け給付制奨学金の創設などを求めてきました。私自身、高校時代から奨学金を借りて今でも返済をしています。これからも学びたいと思うすべての人が経済的理由であきらめなくていいように、国や県の支援を強めていくことを求めていきます。以下、質問の起こしです。

木佐木議員:日本共産党の木佐木ただまさです。どうぞよろしくお願いいたします。これまでも県の様々な施策、こうしたものに様々な、多様な議論が行われてきましたが、こういった議論もよりよい社会を、よりよい神奈川をつくっていく、そしてそれは、未来に残していく、未来に手渡していく、そうしたための議論だと思います。こうした受け取り手はまさに子どもたちであり、子どもたちは未来の神奈川をつくる担い手です。子どもたちが持っている多くの可能性を広げ、よりよいもの、こうしたものにしていくためには、教育は欠かすことができない、根源的な施策だと考えます。中でも、進学を望む子供たちが一人でも多く学びの機会が確保できる、こうしたことにするために県の取り組みはとても重要なものです。昨年12月の一般質問でも指摘をさせていただきましたが、国際人権規約A規約の13条において、中等教育はすべての適当な方法により、特に無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつすべての者に対して機会が与えられるものとすること、とされています。この実現に向けては国任せにするのではなく、県としても自らの問題として、しっかりと責任を果たしていかなければなりません。そこで今日は、高校生の教育を受ける機会を保障するこの取り組みの推進について質問をさせていただきます。

 現在子どもの貧困が大きな問題となっている中、教育が貧困の連鎖を断ち切るために重要な役割を持っている、こういう風に言われています。大きな社会問題となっている貧困の連鎖を断ち切るためにも、高校教育を受けたいと希望するすべての県民が経済的要因で諦めることのないようにしなければなりません。そこで、こうした観点から、来年度予算案の中で、県としては公立に通う高校生について、どのような施策を行う予定か伺います。

 

教育局財務課長:お答えします。公立高校生徒に対する就学支援といたしまして、一定の収入未満、具体的には市町村民税所得割が304200円未満、年収レベルで申しますと、おおむね910万円未満の世帯の高校生に対しまして、授業料に充てていただくために、就学支援金を支給いたします。また、生活保護受給世帯と非課税世帯、年収レベルで申しますと、おおむね250万円未満の世帯に対しまして、授業料以外の教育費に充てていただくために、奨学給付金を支給いたします。そのほかに、学業等に意欲があり、学資の援助を必要とする方に、奨学金の貸し付けを行います。以上でございます。

 

木佐木議員:次に、私立に通う高校生については、どのような施策が行われているのか伺います。

 

私学振興課長:私立高校に通う生徒のための経済的支援につきましては、平成22年度に高校無償化としてできた国の就学支援金と県の学費補助金により、公立高校と県内私立高校の平均授業料の差、いわゆる公私間格差を解消するための支援を行っております。平成22年度は生活保護世帯に対し、県内私立高校の平均授業料42万円までを補助し、授業料を実質無償としました。平成23年度は年収約250万円未満の市町村民税所得割額非課税世帯までを無償となるよう補助の拡大を図り、平成24年度以降は年収約250万円以上の世帯においても順次補助の拡充を図ってきました。平成28年度の当初予算案では平成27年度の県内私立高校の平均授業料が43万2千円と、これまでの42万円から1万2千円上がったことから、生活保護世帯及び市町村民税所得割額非課税世帯まで無償となるよう、補助の拡大を図っております。

 

 

木佐木議員:今答弁していただいた中にもありましたように、県では国の事業を使って奨学給付金制度を行っています。この奨学給付金制度は、答弁にもあったように、生活保護世帯と非課税世帯のみが現在対象となっており、非常に限定的なものだと思います。確かにこうした低所得者に対する支援というのは最も必要なものだという風に考えますが、長引く不況の中で経済的に苦しんでいるのは、生活保護世帯や非課税世帯だけではありません。ひとり親世帯や、非正規で働かれている、そうした家庭など苦しい経済状況の中で就学を望む生徒を抱える、そうした世帯に対してもしっかりとした支援が必要であると考えます。

 また、高校に通うにあたっては学費以外にも多くの費用が掛かり、この点においてもしっかりと手当をしなければ、経済的に進学を諦める生徒や家庭を救うことにはなりません。そこで、今後対象の拡大や給付金額の増額が必要だと考えますが、県の見解を伺います。

 

 

教育局財務課長:奨学給付金につきましては、これまでも国に対して制度の拡充を働きかけてきております。その結果27年度からは通信制課程の高校に通う生活保護受給世帯の生徒も支給対象にできました。さらに28年度からは第一子分につきまして給付額の引き上げを行うこととしております。経済的に課題を抱えた生徒の就学支援は大切なことと考えております。今後とも全国都道府県教育長協議会などを通じまして、国に制度拡充を働きかけてまいります。以上でございます。

 

 

木佐木議員:奨学給付金の支援について強化が図られているということで、こうした方向性については評価する所です。しかし奨学金制度自体が、貸与制がまだまだ中心的になっており、国際人権規約にうたわれる無償教育の漸進的な導入というには、まだまだ道半ばではないかと思います。教育は個人の立身出世のためだけでなく、社会の構成員である一人一人が人格の完成に向け学ぶことで、社会がより豊かに発展していく、こうした観点から学費の無償化や給付制奨学金の創設が世界の流れになっていると思います。本県としてもこうした認識に立ち、無償教育の漸進的な導入に向け、積極的な取り組みをしていくことを要望します。

 さて、学びの機会の確保という点では、高校の全日制の進学率、こうしたものも一つのバロメーターになります。神奈川県の全日制進学率は全国的に見ても最低クラスとなっている状況にあります。学びの機会の確保、進学率向上に向けては、経済的支援はもちろんのことですが、そもそも、適切な受け入れ定員数、こうしたものの設定が重要です。わが会派としては、今県の進める県立高校改革の再編・統合の流れ、こうしたものが受け入れ規模の縮小、全日制進学率の向上させる取り組みと逆行するものになるのではないか、こうした懸念をしています。そこで、全日制進学率の向上を県が主体的に取り組もうとしているのであれば、高校の定員維持・拡充をする必要があると考えます。そこで、定員数の確保はどのような考えで行われているのか伺います。

 

 

高校教育課長:お答えいたします。県教育委員会では公立高等学校の入学定員計画につきまして、公立中学校卒業予定者の動向を踏まえながら、公私協調の元、生徒一人一人の希望と適性に応じた進路を確保できるよう、取り組んでおります。今後とも、こうした考えで定員数を確保してまいります。以上でございます。

 

 

木佐木議員:これまで、県立高校改革の推進の中で、結果として全日制進学率90%割り込む、そうした事態を招いたり、毎年3000人もの中退者が生まれる、こうした事態もありました。こうした非常に憂慮すべき事態、今度の新たな高校改革の中では解消される、そうしたものになるよう、強く、要望いたします。

 高校における学びの機会の確保という点では、公立だけでなく、私学に通う高校生への支援も大変重要です。本県では私学に通う生徒も非常に多いという現状です。私学は公立と比べ学費が高額なため、私学への手当てが必要です。実際全日制の枠が狭いこと、公立ではなかなかできない、私学ならではのきめ細やかな対応、こうしたものを求めて、経済的に苦しくても私学に通わせている家庭もあるとのことです。私学の学費を軽減するためにも、私学の運営に対する補助である経常費補助、生徒一人当たりの単価が全国で46位と非常に低い状況となっている本県において、この点をしっかり受け止め、せめて国の基準と同等に行うべきと考えますが、所見を伺います。

 

 

私学振興課長:本県では私立高校の教育条件の維持向上、生徒の就学上の経済的負担の軽減などを図ることを目的に、平成12年度から、教職員人件費や維持管理費などを対象とした、学校の標準的な運営費を算定する標準的運営費方式により、経常費補助を行っております。今後も、私学助成にかかる生徒一人当たりに対する国の地方交付税算定上の単価、および他の都道府県の助成状況を把握しながら、私学への助成に努めてまいりたいと考えております。

 

 

木佐木議員:県外の私学に通う生徒に対して、学費補助が現在手当されていないという状況もあります。東京都などでは、都内から神奈川の私学に通う生徒に対しては、学費補助が支給をされています。本県においても、たとえ県外の私学に通っていても、神奈川県に住まう県民に対しては、等しく補助を行うべきと考えますが、お考えを伺います。

 

 

私学振興課長:本県では、私立高校に通う生徒を持つ保護者の経済的負担の軽減を図り、併せて県内の私立高校の振興を図ることを目的として、入学金や授業料への学費補助を行っています。現在国の就学支援金制度は、平成26年度から低所得者層を中心に補助額が大幅に拡充され、県外の私立高校に通う生徒たちも対象となっています。一方国の就学支援金に上乗せしている本県独自の学費補助制度については、県内私立高校の振興という観点から、対象者を県内私立高校通学者に限っています。東京都と隣接する埼玉県や千葉県においても同様の観点から、県外私立高校通学者は学費補助の対象とはなっていません。こうしたことから、まずは県内私立高校の振興に努めることを基本とし、県外私立高校通学者に対する支援については将来の研究課題としております。

 

 

木佐木議員:将来の研究課題ということでした。これまで述べてきたように、現在の県の私学助成は全国と比較しても、決して充実しているとは言えないという風には感じています。これまでも県民の切実な声が寄せられており、まだまだ改善の余地がある、という状況ではないかと考えます。このような状況を改善していくために、今後どのように取り組んでいくつもりか県民局長の所見を伺います。

 

 

県民局長:私学助成につきましては、平成25年8月に緊急財政対策を受けて設置しました、神奈川の教育を考える調査会から二点、提言がございます。一点が私学振興費と教育費全体の配分見直しの中で、生徒の学費補助へ重点化を図ること。もう一点が各私学の魅力向上、生徒確保に向けた努力が反映される補助方式を検討すること。この二点でございました。そこで、平成25年度以降、学識経験者や私学関係者から構成されます、県私学助成制度運営協議会におきまして順次検討を進めており、協議が整ったものについては平成27年度以降、順次予算に反映させていただいているところでございます。

 経常費補助と学費補助の二つがあって、私学助成でございますので、私学助成制度運営協議会のご意見を伺いながら、今後ともしっかりと取り組んでいく所存でございます。以上でございます。

 

 

木佐木議員:今答弁いただきましたが、県は一学年の学級規模を増やすことで高校の廃止、こうしたものの定員を吸収しようとして、一人一人の可能性を丁寧に伸ばしていこうとすれば、こうした大規模化への方向というのはまさに逆行と言わなければなりません。かつて県が「15の春を泣かせない」と学校を増やし、教育の機会を保障してきた、こうした取り組みを後退させないよう要望します。また、先の県議会においても約27万人もの署名とともに、私学助成を拡充してほしいという請願が出されました。こうした県民の切実な願いに耳を傾け、心を寄せる、そうした県の姿勢が必要です。高校進学を希望しながら、経済的要因で断念する生徒や家庭を一刻も早くなくしていくためにも、奨学金制度の拡充、そして学費負担の軽減、これらを図り、未来を担う子供たちに積極的に予算を配分し、教育環境の充実を図っていくことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。