「日本共産党神奈川県議会議員団の議会運営に対し猛省を求める決議案」に対する反対討論
2016年第2回定例会 決議案に対する反対討論
日本共産党の井坂しんやです。
私は、日本共産党県議団を代表し、「日本共産党神奈川県議会議員団の議会運営に対し猛省を求める決議(案)」に反対の立場で討論を行います。
4月11日に協議されることが決定した先例101「代表質問は原則として各交渉団体1人とする」の例外的な取り扱いを行うこと、および、これまでの謝罪などの内容を書面で示し、謝罪の意を明確にとどめることについて、5月11日、12日に論議が行われました。
これは、昨年来の事態について3月22日の議会運営委員会で一応の決着をみた後、3月24日の本会議の討論で、請願の一部の賛否の表明について訂正したこと、およびわが団の議員のブログの掲載内容が問題にされたものです。
その論議の過程で、私が、「正副議長選挙が毎年この時期に慣例的に行われている」と発言したことについても、他の会派から「慣例的には行われていない」と指摘がありました。
しかし、これらが果たして、代表質問を制限する、例外的な取り扱いを定めることやわが団に猛省を促す決議を採択する必要があるかといわれれば、その必要は断じてありません。
3月24日の討論における発言訂正は、討論終結前に訂正を行っており、議会運営への影響は最小限に抑えられました。
また、ブログに関しても、是正し的確に処理しています。
さらに、議論の過程で、正副議長選挙が毎年この時期に慣例的に行われているとの発言が問題になり、他の会派から、「重大な問題発言」である、「慣例的には行われていない」、「慣例だといったことについて訂正し、撤回することを要望する」など、厳しい指摘がありました。しかし、ある別の会派の議員の2013年6月22日のブログで、「神奈川県議会は、慣例として、1年で正副議長が交代します」「二元代表制の一翼を担う議長は、原則として少なくても複数年であるべきではないでしょうか」と記載されています。なぜ、約3年前の「慣例として」というこの記事は、重大な問題として扱われなかったのでしょうか。
同じことであっても、日本共産党は批判するが他の会派は批判しないというのはあまりにも公正さを欠いていると思いますし、そもそも特段大きな問題だったのでしょうか。
さらに、不適切な発言をするなどのミスは、2016年の第1回定例会でもほかにありました。
私が所属していた予算委員会では、別の会派から、不適切な発言があり、削除の申し出を理事会で承認しています。また、同じ予算委員会で別の会派の議員が質問を終了しようとした時、予算委員会要綱の「委員会の審査事項は、2以上の常任委員会にかかわるものとする」という規定に抵触することを委員長から指摘され、その場で質問を追加するというケースもありました。
また、文教常任委員会でも別の会派から、視覚障害を持っている方への不適切な表現をして、発言の訂正をしています。
私はこれらのケースは、不適切な発言や発言のルールを間違えそうになった時に、議会運営に支障をきたさないよう委員長が処理したもので、とても適切な判断だったと思います。
不適切な発言やミスは、することがないように努力し、研鑽を積まなければなりませんが、こうしたミスをことさら、議会運営に支障をきたすとして重大な問題だとすることは、議員を不必要に委縮させることになるのでやめるべきと思います。
同じようなケースであってもわが団の議員がミスをすると議会運営委員会で問題になることや適切に処理したことをあたかも訂正を認めないかのように執拗に取り上げることについては、とても違和感を覚えます。
しかも、このような動きが、代表質問に制限を加えることにつながるとなれば、自由な発言を保障している議会制民主主義をないがしろにするものといわなければなりません。そして、だからこそ、多くの方が代表質問の制限に危機感を覚え、声をあげたのだと思います。
そして、この決議案には、「再度このような事態を招いたときは、交渉の権利を有する団体の立場を辞する覚悟をもって議会運営に臨むとともに、」と記載され、代表質問に限らず、交渉会派としての権利をすべて制限することを暗に示していると思われるところもあります。「このような事態」とはどのような事態を指すのか、そして、それをだれが判断するのか、そのすべてを多数が恣意的に判断することになるのではないでしょうか。
わが党議員団のミスだけを取り上げ、議会運営に重大な支障をきたすものと扱い、この決議にあるように日本共産党県議団に対する権利の制約を狙うものであるなら、議会制民主主義に照らしても許されません。
私たちはこういう多数が少数を数の力で抑え込もうとする動きには断固として抗議するものです。
そしてこういう観点から到底、この決議案は受け入れることはできませんし、日本共産党県議団だけ、別扱いにするような不当な取り扱いを改めるように求めるものです。
本来、議会での発言は、自由に発言ができるようにお互いに努力する必要があります。議会基本条例の前文には、
「県議会は、活発で分かりやすい議論を尽くし、県の議事機関にふさわしい判断を重ね、真の住民意思に基づく県政の実現を目指すものである。」と書かれ、また、「県議会は、多くの県民の意見の集約と調和を図る立場を自覚し、主権者である県民の視点に立って」と書かれ、活発な議論を行うこと、多くの県民意見の集約と調和を図ること、などが規定されています。
これらの理念を実現するために、私たちは、責任を持って発言をするとともにお互いのミスは適切に処理することで、議会運営を円滑に行うようにする必要があると思います。
そして、ブログなどは、議員個人の責任で行われている以上、何か間違いに気づいたらその個人にその旨を伝え、適切に対処し、議会運営に支障のないようにし、自由にそして積極的に県議会のことを県民に伝えていくことが必要ではないでしょうか。
今後、より一層県民に開かれた議会を目指すことを最後に述べ、決議案に反対する討論とさせていただきます。